海外で働くきっかけ(2):上司が驚いた海外からの一本の電話
上司が驚いた一本の電話
ある日、電話がアジア地域のリーダーであるジョンから日本支部の産業部門リーダーである私の上司に来た。
まずは「今アジア太平洋地域で医学系刊行物の編集や、アジア地域間で協働してビジネス・デベロップメントをリードできる人を探している」と。
「それで、君のチームのLilianは業界知識や経験もあって、積極的に動けるし、コミュニケーションも取りやすい。
よくフィットするんじゃないかと思うんだけど、どう思う?」
上司のGregは翌日、驚きながら、「コンサル30年以上やってるけどさ、アジア太平洋チームへのスカウトなんて初めてだよ」と私に話してくれた。
Gregは日本人だがアメリカで教育を受けていたので、日本名の他にGregという英語での名前(English Name)を持っていた。
Gregは、悪い話じゃないと思うよと言った後で、いい経験になるから良く考えるように言った。
私も驚いた。
驚いたし、まあ、いい話ではあるけども、なんだかんだいいながら、彼の側近になる人ならオーストラリア人を採用したほうが早かろうと思って、あまり深く考えずにいた。毎日目の前の仕事に忙殺されていた。
そうしたら翌週に私の携帯にジョンから電話がかかってきた。
本気の話だった
ええー、、、もしかして本気だったのか。
「あ、もしもしLilianです。」
「ジョンだけど、君の上司のGregに話したよ。多分のこのポジションは君にによくフィットしていると思って声をかけたんだ」と説明してくれた。
その時は10月で、翌年の1月には勤務を始めてほしいという。
そ、そんなにすぐに?
実はそのとき、私は東京の生活を謳歌していて、わざわざ南半球に行く理由もそんなに見つからないと思っていた。
ちなみにすでに一緒に仕事をしていた中で、真夜中のメールのやり取りも多々あったしオーストラリアだからといって、毎日夜6時に終わるような仕事ではないとわかっている。
つまり、この駐在はプチ休暇になんて絶対ならない。
結局悩みに悩んだ。一か月後に答えを出すよう言われていて、一か月丸々かけて迷った。
そのときは、悩んでいるときに立ち消えになるかもしれないと、思っていた。
よくある「動くかもしれない」けど結局条件の面で折り合いがつかず、立ち消えになったりするのでは、と考えていた。
もしくは何らかの原因でビザがおりなかったり、とか。うだうだ。
今思うと、このときはまさに人生の岐路だった。
そのときはひとつの海外プロジェクトに関わるくらいにしか考えていなかったが。