地球の小走り方

Running on the globe-元海外駐在員が就活や転職、海外就職などについてを綴っています。

コロナで渡航制限のある中で反対を押し切った社員「もう航空券手配しました。」

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今年はパンデミックの発生のせいで、オーストラリアでは国境を超えることは特別許可を得られる場合以外は許されておらず、海外社員組が実家に帰ることができていない。渡航者は14日間の自己検疫義務の導入もあり、国レベルの規制でも制御されているし、この困難な時期を乗り越えるより仕方ない。離れている家族や友人とはせめてスカイプで毎日元気な姿を見せるとか、代替案を考えるしかない。

・・・と普通の社会人は思うだろう。

ある日、インド人のアピ(入社5年目・女性)が自分の実家に一年に一度帰っていたので今年も帰りたい、と言いだした。

彼女の上司はプロジェクトの途中で当然の権利を行使すると主張しだしたアピをなだめようとした。

上司「プロジェクトの途中で替わりがいないし、年明けにオーストラリアに戻ろうとしても航空券が取れない可能性が高いから、帰らないでほしい。」

アピ「インドからリモートで仕事します。」家族に会いたいから3か月インドからリモートで働かせてほしいという。

 

自己都合だってなんのその:朝の早起き?冗談でしょ?

ここオーストラリアとインドの彼女の実家の都市の時差が4時間なので、オーストラリアのプロジェクトの始業に合わせると午前4時半始業になる。

それを聞いて彼女は「まさか、4時半なんて、そんなに早起きしたくない。」とのたもう。

上司「ふあっ…(汗)。プロジェクトに代わって入る代理がいないし…結局一度出るといつ戻れるよう航空券手配できるかわからないよ。」

結局、彼女の上司はうんと言わなかった。インドからの帰国者をオーストラリアが数か月後のその時、受け入れているかなどは予測が難しいからだ。

いやいや、3か月くらい早起きは仕方ないんじゃないの?自己都合で勝手にリモートワークに切り替えて、「早起きは嫌」って、アンタ。。。。

希望が聞き入れられず、アピは不機嫌になった。

うーん、かわいそうだが、彼女のプロジェクトでは皆が同じタイミングで確認作業に取り掛かったりするものだったので、リアルタイムで作業しないと戦力にならない、ということだ。

アピの上司とランチをしたところ、「許可なくても勝手に飛び出していきそう」と言った。

え・・・そんなことまで許されるの?

私は思わず、かじっていたベトナム風ポークチョップを皿において「それで、解雇にならないの?」と聞いた。

ならないのだそうだ。3か月休職扱いにするかどうか、アピの上司の上司である部門長がサインするのを躊躇しているという。

はああ?

会社命令が絶対の日本に比べ、ところ変われば、この待遇である。

 

上司全員に反対されたのに速攻でチケットを予約。

で、インド人従業員のアピは考え直したかというと、当然考え直すことなんてない。だって当然の権利だし。

すべての周囲の意見を無視してその週末にムンバイまでのチケットを予約した。


つか、めっちゃ心臓強いなきみは。。。

さらに彼女の上司に話を聞くと、プロジェクトの途中で抜けるという荒業をやってのけた挙句、
「休みは取りますが、昇進をあきらめていない」と言い放つ。

はあああああ?

この図々しさ。


Me, me, me, I am the most important in the world.

どういう思考回路?。。。解雇にならないだけでも感謝だよ、アンタ。。。

学生時代にすべての力や常識を使い果たしたか?

とても図々しく型破り、そして仕事へのモチベーションもそんなに高くないアピは、実は米国の名門プリンストン大学の出身だった。

プリン。。。ストン。あの世界的に著名な学者を数多く輩出している超有名なプリンストン大学である。

ちなみに、話を聞いてみて彼女はモチベーションが低いだけでなく、特にGround breakingな…驚くような画期的なアイデアを出すわけでもなく、すごく機転が利くわけでもないという。

というか、「低モチベーションによるマインドセットの形成→パフォーマンスの低さ」という図式のが正しいかもしれない。

周囲でこういうことが重なると、仕事ができるかどうかと学歴の高低との相関は世間が思うほど高くないと感じる。

でもそれで、いいのだ。

知力はあっても、ビジネスセンスの有無とアカデミックであることは全然違う。

基礎体力はあっても、ジャンプ力のすごい人がマラソンも速いとは限らない、そんな感じである。

もちろん、ジャンプ力高く、マラソンが速い場合もある。

アピの上司に言った。「まさかとは思うけど、彼女を在籍させておく間に、ほかの人をHiring(採用)するでしょ?」

「うーん、多分ね。」

しかしそこで、こやつ在籍させておくだけ金と時間の無駄です、追い出して採用を再開しましょう、などというと、パワハラと言い出すに違いない。

ま、アピの上司は穏やかな人なのだけど、オーストラリアでは、こんな図々しい社員にすら上司は怒鳴ったりしない。

だけれど、人員不足になったチームの穴埋めをするために、穏やかに粛々とアピの上司は動き出した。

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