海外勤務のあれこれ:コロナ禍で若手のやる気を底上げ(2)
そもそものキャリアについての考え方
「私は他の新入社員より5年長く学生をやって、法学で博士号まで取っているので、特別枠で採用されたみたいなもんなんです。」
「ふーん、( ´_ゝ`)。。。」と私。これは結構こじれそうな話になってきた、と正直思った。
でも希望を持って入ってきてくれた社員なのだからして、事情を聞いてみよう。気を取り直した。
「人事と採用のとき、そういう話し合いはしたの?」
したような気がする、とスージーは濁した。多分、していなかったんだろうな、と感じた。
「だから、職位も一番下の新入社員扱いでは、ちょっと。はっきり言うとその上の職位の仕事だって本当はできますし。」
うーん、と私は唸った。できていないと思うけどなー。
一緒に仕事していて思うよ、君はときどき、社会人を3年した人が絶対しないようなポカミスをする。ただ、専門性という意味では、他の新人よりは深い知識を持っているというのは確かかもしれない。正直、複雑だなと思った。
「次の職位の基準に達している、というのは会社全体の基準に合わせてレベルを評価する必要があるから、主観的にはどうであれ、客観指標での評価が必要になってくると思うよ」と私は言った。
新入社員の学歴は海外では重視されやすい?
新入社員の学歴を採用側は見ているのか。教育課程でDrop off(落第)しないでやり遂げること、などは見ているかもしれない。
業種や職種によるがコンサルティング業界ではあくまでご参考程度である。例を挙げると出身県を見るようなものである。
それよりも考え方のプロセス重視でロジックや、瞬時の判断力の良さなどを見ている。
それは、そういうものを業務で重要視するからであり、それがこちらの思うレベルに達しないとしても、まったく生きていく上では問題ない。
彼女だって、きっと法曹界では活躍できる切れ味のよい法律家としての資質を備えているかもしれない。
ただ、会社のビジネスの目的を果たすかどうか、とアカデミックな学術専門家として優れているかどうかは全くの別問題なのだ。
欧米各国で共通して見えてきたこと
私は日本だけでなく、イギリス、アメリカ、フランス、オーストラリアの人材採用事情に関わりいろいろと考えた。
私的セクターの企業に就職する場合、業種によっては学歴は、大卒以上すべて一律で差を見ない傾向にある。
だから大学院教育は私的セクターにて働くことにまったく意味がないのか?
そうは思わない。より大学教員のレバレッジを利かせるには、学校で専攻した内容がそのまま業務に役立つような会社・組織に行くことは可能だし、本人にとっても大切だと思う。
だからこそ、就活で自分の可能性を現実的に吟味する作業が必要なのだと思う。
(続きます。)