地球の小走り方

Running on the globe-元海外駐在員が就活や転職、海外就職などについてを綴っています。

軽く上司いじめをする方法

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コンサル業界のプロジェクト形態として、一人の上司に尽くして働くのではなくプロジェクトごとに上司が変わる。
2年や3年のプロジェクトにならない限り、平均して2-3か月ごとに上司は変わっていくという恰好になる。
みんな人間なのでその中で、気の合う人や気の合わない人がいると思う。
今回は私のチームで一緒に働いた破天荒な彼の、これは新たな上司いじめとして有効だ!と開眼した話を何回かに分けてお届けしたい。
彼はいろいろな面で破天荒だったので、破天荒君と呼ぶことにする。

「確かにこれをやれば次回はプロジェクトに誘わないよなあ。うん、なかなか賢いなー。」って感心している場合ではない。実際に冷や汗たくさんかいたし😅
まず一つ目のエピソードである。

破天荒くんのバックグラウンド

破天荒くんはアジア圏生まれ(国は彼の人格とは関係ないので、ご想像にお任せします。。。)の日本育ちでおじいさんが日本人だった。祖国から11歳で日本に移民したが、言葉の問題もあってあまり周囲と馴染めず、大学は海外に出て、アメリカに留学し、会計士の試験を受かっている。

その後彼は新卒で競合会社に入り、その1年半後、うちの会社に移ってきた。
そしてその2年後結婚をして、子供ができたが奥さんが韓国人で日本語を話せず、奥さんが言葉の通じる英語圏で受け入れてくれる事務所を探していた。
アメリカは移住政策に厳しく書類が通らず、そんな中でとある部署に空きが出たオーストラリア事務所に転籍をした。


クライアント先で一緒に仕事をしたある日

クライアント先のオンサイトでの仕事を一緒にするのは初めてだった。一緒に車で出張した際、いろいろなことを話した。日本にいる家族ととても仲が良いこと、日本の高校では陸上をやっていたこと、韓国人の奥さんとは留学先のアメリカで出会ったことなど、
物腰柔らかで、一緒にオーストラリアに来てくれた奥さんや子供をとても大切にしているのが分かった。

とまあ、とても丁寧なひとだと思っていたので、特に心配はしていなかったが
問題が起きたのは自己紹介のときだ。

クライアントは大学だったのであった人々はみな研究者や講師だった。穏やかな雰囲気で自己紹介が始まった。こういう場合の自己紹介って、当たり障りない範囲で自分の経歴者、今の担当部署の仕事や役割と、今回の仕事に紐づいた過去の仕事などを紹介する場である。

私はさらさらと無難な自己紹介をした。信頼のおける者と思われたい、これは普通のビジネスパーソンの願いである。
そのあと破天荒くんが続いた。
「x社y部署のAと申します。X社のオーストラリア事務所は1年前に移ってきました。日本のx社はM&Aや戦略分野を担当していました。
日本のx社は規模でいうと、すごい小さいっすよ。まあ誰かが聞いてもあまり知られていないくらいの会社です。なんでそんな規模かというと…」

彼は悪びれず、にこにこしている。
ん??
( ゚Д゚)

私はびっくりして固まっていた。大学側の人たちもびっくりである。
欧米では業界内では最大級の大きさで、日本でも規模が小さい部類にははいらないのではないかな。
そして実は、大きさがどうのという部分はまあどうでもいい。

それより…なぜ自己紹介で、急に自社を卑下するのだろう。メンタリティーの問題である。これから新たに関係を築く人々に向けて、君が敢えて言ったネガティブな情報は必要なの?!と言いたかった。

第一印象を決める自己紹介

というわけで、彼はいくら仕事ぶり良くても、クライアント先にて単独で動いてもらおうとは思わなくなった。
そしてこんなにひどい、というか意図もよくわからない自己紹介をして、この先彼がどうステップアップしていくのかも気になった。

会社では、プロジェクトごとに評価が下りる。
彼は私とのプロジェクトではまあまあの評価だったのに、他のプロジェクトではまったくもってひどい評価ばかりだった。

彼に相談をされた。「チームとうまくいかないんです。」
一生懸命にやっているけど、なかなか歯車が噛み合わない。
この間の自己紹介は確かにやばかったけど、結構細かく見ているし、そんなに質の低い仕事をする感じではないのになあ、と思い周囲の人に聞いてみた。
そしたら驚くことに、
彼は自分のチームメンバーの失敗をクライアント会議で議題にしてしまう、そういう癖があった。
また、そんな自爆行為…
何か問題があったら、まず、チームで話し合って解決してからクライアントとの会議に行けばいいのに。
でも、もしかすると彼はそういうクライアントの前でチーム員より自分が正しいとマウンティングすることに快感を得ていたのかもしれない。
ちょっとした人の癖だよね、社会人としてはどうかと思うけど。
当然、人間関係からプロジェクトは回らなくなり、みな大事なクライアントとのプロジェクトに彼を登用しなくなったのである。

たかが自己紹介。されど自己紹介。愛社心とか情熱なんて、なければ見せなくていい。
所詮第二新卒の2社目の位置づけだし。

ただ、会社の外で会社の名前を使って仕事をするときは会社の顔になっているということ。
それを考えて動くのは当然で、個人主義のオーストラリアでもそうだ。

今日は、自己紹介は人格出るよね、って話でした。自社を貶めるようなことをクライアント会議で発言すれば、上司は嫌な汗をかくこと間違いないです。

私も冷や汗をかいた、とある日差しの強い日のオーストラリア。

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